レンジでホットタオルを作ると、晴翔が綺麗に理玖の体を拭いてくれた。
自分でしようとするので、理玖がタオルを奪い取って晴翔の体を拭いた。
「前は電車通勤してたんですけど、最近は車で来るようにしてて」
晴翔の運転で帰路につく。
さっき思い付いた推論を、理玖は早速ノートPCに走り書きしていた。
「もしかして、予定があった? そういう時は断ってくれていいよ」
「俺が車で来てるのは、理玖さんが倒れた時に家まで送り届けるためです。理玖さんより優先すべき予定は、俺にはないです」
顔を上げた瞬間に、間髪入れずに返事が返ってきた。
(じゃぁ、弁当を盗まれた日以降から車で来てるのかな。僕が知らないところでまで、気遣ってくれていたんだ)
嬉しいし照れくさくて、思わず目を逸らした。
「理玖さんが自分から家に誘ってくれたのに行かないとか有り得ないです。理玖さんも明日、お休みでしょ?」
世間はもうすぐGWだ。明日は最初の祝日にあたる。
大学職員は土日以外、基本は出勤だが、明日は休みだ。
「うん、そうだけど」
「泊まっても、いいですか?」